令和元年の基準地価発表
全国
国土交通省は19日令和元年7月1日の基準地価を発表した。
それによると全国の全用途では前年比0.4%の上昇で2年連続のプラスとなった。
これまで伸びていた三大都市圏の上昇率は2.1%と伸び悩み、訪日客の多くが訪れ再開発なども進む地方圏の中核都市(主に札幌、仙台、広島、福岡等)は6.8%の上昇(因みに中核都市4市の商業地の上昇率は10.3%と12年ぶりの2桁台)と都市圏と比べ大きく回復している。
しかしながら調査地点2万734箇所のうち9946箇所は未だ下落が続いているのも現実だ。人口減少が響き超低金利下でも未だ上昇に転じない県庁所在地(高知市,甲府市、松江市、鳥取市)もあり地方圏全体では全用途平均でマイナス0.3%と低迷している。
景気もこのところ、国内では少子高齢化や先行き不安などで個人消費などは低迷している。また米中貿易摩擦や自国第一主義の台頭、英国のEU離脱問題などで世界経済も先行き不透明だ。
安倍首相は好景気を全国津々浦々まで波及させるとかつてから言っている。
お題目は立派であるが人口減の激しい地方都市の田舎?まで、余剰マネーの不動産投資は波及していくのだろうか。
トリクルダウンではないがシャンパンは下のグラスに落ちるまでになくなってしまうのがオチであろう。
結局は人が集まるところに金が集まるということだ。
まあいつものパターンで嘆くことも驚くこともなかろうが・・・・・。
愛媛県下の地価動向
全用途平均は27年連続の下落であるが前年度比の平均下落率は1.5%で下落幅は0.2ポイント縮小している。
松山市以外は住宅地、商業地とも総じて需要は低調である。
引き続き地価は下落幅が縮小傾向にあるものの緩やかな下落ないしは底ばい傾向が続くものと思われる。
松山市と周辺市町の用途別平均を見ると住宅地は市中心部、近郊住宅地や私鉄沿線などアクセスが良く利便性の高い地域は土地需要が強く上昇傾向にある。
郊外部特に市の北部、北西部は依然として下落傾向が続いている。
商業地は中心部で宿泊施設の需要やテナントビルなどへの需要が堅調で地価は上昇傾向を継続している。
松山市には市街地周辺に道後温泉や松山城などもあり県外観光客を始めインバウンドも着実に増加している。
県下では唯一松山市が地下の面でも一人勝ちということになると思う。
現在、一番町電車通りではホテルが建設中であり松山市駅前でホテルが計画中である。
中心市街地の一定規模以上のまとまった土地であれば引き合いはかなり強い。
商業地は11年ぶりに0.3%の上昇、住宅地は0.6%の下落、全用途では0.3%の下落となっている。
大洲、西予両市は全用途平均の下落率が拡大した。
昨年夏の西日本豪雨の影響と見られる。
宇和島、八幡浜市をはじめ総じて南予地方は地価上昇要因に明るい材料は見当たらないが
伊予の小京都、大洲市が大洲城に宿泊する城主体験など歴史的施設本来の機能を生かした体験型観光が来春から始まるらしい。
夕暮れの本丸で法螺貝や太鼓が鳴り響く中、騎乗した城主(宿泊客)が入城すると鉄砲隊が祝砲で迎えるという凝った趣向らしい。
翌朝には明治期の豪商、河内寅次郎が築造した「臥龍山荘」で朝食などのおもてなしを用意するという。
1日1組限定で1泊100万円以上の料金設定になるようだ。
傍を流れる肱川の鵜飼い、近隣の内子町との連携も図れば地域本来の魅力を生かした体験が1つの呼び水になるかもしれない。
なんでもいいと思ったことは旧弊に囚われず果敢に試してみることだ。
東予地方については今治市の住宅地は市中心部の人気地区は需要が堅調である。
商業地は郊外型大型店舗への顧客流出の影響で中心商業地の空洞化が顕著である。
新居浜、西条市も中心市街地や利便性の高い住宅地は下げ止まり、横ばい傾向にあるが商業地は依然として下落傾向にある。
工業都市でもある新居浜市の工業地は工場の稼働率の向上、設備投資の増大などで土地重要は根強く数年前から地価は上昇に転じている。