鑑定士のひとりごと

倫理感欠如の迷門・関電

倫理感欠如の迷門・関電
関西電力の役員ら20人が福井県高浜町の元助役から3.2億円の金品を受領していたということだ。
問題の発端は2018年1月に金沢国税局の査察部が原発関連工事を受注していた建設会社、吉田開発(高浜町)を法人税法違反容疑で強制調査したことに始まる。
国税局は吉田開発が架空の外注費の計上などを名目に元助役に約3億円の手数料を支払ったことを明るみにした。
18年6月頃、査察部が吉田開発の支出の裏付けのため元助役を調査したところ関電幹部らへの金品提供を示すメモが発見されたということだ。
元助役は国税局の指摘を受けて所得税の追加納付をしている。
元助役は3.4億円を関電に出しているのに吉田開発からは3億円しかもらってないというのも奇妙な話だ。
もっと大きな金が動いていたはずだ。
またこの元助役は関電子会社の関電プラント(発注者側)と地元の工事会社吉田開発(受注者側)の両方の企業に相談役とか顧問として関わっていたということである。
そして関電は原発関連工事の情報を元助役に事前に流し吉田開発に多くの工事案件を随意契約で取らせていた。
これは明らかに犯罪であり一般の公務員や会社員なら即、クビである。
ここで慌てたのが関電首脳陣。
関西電力はこの年の7月(査察部が元助役を調査した後)遅まきながら調査委員会を立ち上げ社内調査を実施し同年9月に報告書をまとめた。
ところがその調査結果については最近まで公表していなかった。
関電と建設業者の間に立つ中心人物の元助役は今年の3月既に90歳で死亡している。
高浜原発は約45年前の1974年に1号機が運転開始、森山栄治氏は1977年に高浜町の助役に就任している。
国税局は元助役から所得税を追徴し一見、それなりに役目は確かに果たしたかに見えるが、もっと早く(元助役がピンピンして元気な時に)この問題を公にすることができなかったのか。
蔭で大きな力が働いていてタイミングを図って査察に入ったのではないのかと勘ぐる。
菅官房長官は「言語道断だ。第3者の目線で徹底的な調査と原因究明が不可欠だ。
エネルギー制作は国民の信頼なくしてはなしえない。政府としても厳正に対処したい、」と語っている。
菅原経済産業相も「それぞれ受け取った金額も法外で、あってはならない事態だ。経産省、エネルギー庁に全く報告がなかったことが信じられない」とコメント。
ご両人ともごもっともな見解を述べているが、元助役は国会議員にも顔が利く人物だったらしい。
役員らが受け取った金品は世間一般常識からすれば非常識な額だ。
まるで悪代官と悪徳商人がお互いに利益供与する時代劇のドラマさながらである。
ここは藤田まこと演じる、必殺仕置人にバッサリやってもらうしかあるまい。
この問題が表沙汰になりそうになったから急に社内調査をして報告書を作りやむにやまれず公表したという感じだ。
それも身内だけの調査で元助役や業者の聞き取りもなしの一方的な報告書である。
金品を受け取った関電幹部のコメントは「元助役は特異な人物で金品を返そうとしたら激高し、仕方なく受け取らざるを得なかった」と弁解している。
金品は会社のどこかに個人的に保管していたということだが、コトが表沙汰にならなければ退職時にポッポナイナイ(懐に入れること)していたに違いない。
また元助役の意に沿わないと「発電所を運転できなくしてやる」と恫喝されたとも言っている。
まるで自分たちはこの問題の被害者であるかのように・・・・。
関電首脳といえば一流大学での超エリートだろう。
賢い人はさすがに言い訳も上手だが同情に値しない。
何か大きな力が働いていたのかどうか闇の中だが元助役が3月に死ぬのを待ってコトがおおっぴらになった感じがしてならない。
1号機が稼働して40年以上になる。
こうした問題は1号機が稼働する以前からあったのではないのかと思われてもしようがない。
誤解を恐れず勘ぐると歴代の関電首脳陣はもっと大きなお金をポッポナイナイしていたのではあるまいか。
現在の幹部だけを槍玉に上げるのではなく歴代幹部たちの責任(もし金品の授受があればだが)も問う必要がある。
元助役は亡くなっているので事実解明はすこぶる難しいと思う。
悪い奴ほどよく眠る(歴代の関電首脳のこと)。
まるでこの事件のストーリーは松本清張の小説みたいだ。
サラリーマン社会の悪い癖でいつものことだが最後にババを引いたものだけが割を食うということになるのか。
電気料金は総括原価方式と言ってコストに一定の利益を上乗せして電気代を決めることになっている。
従って工事代がいくら高くなろうがコストとして電気代に跳ね返せばいいのであって彼らには痛くも痒くもない話だ。
決して電力会社は損をしない構造になっている。
親方日の丸、泣く子も黙る公益企業なのである。
この問題は迷門・関電だけの問題なのだろうか。
他の電力会社は本当に関電のような事実はなかったのか。
大手電力会社にとって国の規制基準の審査に合格しても「地元の同意」なくして原発の再稼働はできないことになっている。
国は2030年度に電源構成の原発比率を20~22%に引き上げることが目標らしい。
しかしそれには現在稼働中の9基を含め約30基稼働させる必要がるということだ。
今回のこの問題でそれは大きく遠のいたと思われる。
原発を廃止したからといって工事にまつわる金品の授受がなくなるわけではないのが人間の業というか性みたいなものだ。
東日本震災後の福島原発の現状を見ても未だ原発事故の処理で迷走している。
風力、水力、太陽熱、地熱等、自然の代替エネルギーに依存する社会を目指すべきで原発は全面廃止の方向に向かうべきだ。

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