国土交通省が2016年7月1日時点の基準地価を公表した。
基準地価とは都道府県が不動産鑑定士の評価をもとにまとめた毎年7月1日時点の全国の土地価格のことで国土交通省が9月に公表し公共用地の買収や民間企業などの土地取引の指標となるものである。
これによると今年7月1日の基準地価は全国の商業地が前年比0,005%のプラスとわずかではあるが9年ぶりに上昇に転じた。訪日外国人が増え、店舗やホテル用の地価が上がり、マイナス金利でだぶついたマネーが地方の中核都市に流れ込んだことなどが一因である。そのため札幌、仙台、広島、福岡などの商業地上昇率は6,7%と3大都市圏の2,9%を大きく上回った。また訪日客に人気の高い京都市や北陸新幹線の開業効果が続く金沢市は2割を超す上昇地点も出ている。
全国で最も地価が高かったのはやはり東京・銀座の「明治屋銀座ビル」で地価は1㎡当たり3300万円で平成バブル期のピーク3800万円に迫っている。商業地に比べると住宅地の回復は鈍い。3大都市圏は0,4%の上昇で前年と同率。地方圏は人口減少という構造問題を抱え依然マイナス1,2%(前年マイナス1,5%)と未だに水面下である
四国4県の基準地価は住宅地や商業地を含む全用途で上昇地点が前年より10地点増え28地点になった。全用途の下落率も徳島県マイナス1,7%(前年マイナス2,1%)、愛媛県マイナス2,8%(前年マイナス3,0%),香川県マイナス1,4%(前年マイナス2,0%)、高知県マイナス1,2%(前年マイナス1,7%)4県すべてで前年より縮小している。
上昇地点28のうち徳島県11、愛媛県6、香川県9、高知県2となっている。愛媛県において県は「県内経済は緩やかな持ち直しの動きが続いているが、地価の動向は人口減少や高齢化などの構造的な問題が背景にあり、全体としては下げ止まっていない」としている。
基準地は7月1日時点で県内410地点を設定、上昇6地点は全て松山市で住宅地と商業地が各3地点。商業地について県は15年8月開業の複合施設「アエル松山」や16年3月オープンのダイワロイネットホテル松山に加え、建設予定のホテルが集客への期待感を生んでいるとした。
上昇率1位は住宅地が28年連続最高価格地点(1㎡当たり19万7千円)の松山市持田4丁目で3,1%、商業地が23年最高価格地点(75万9千円)の松山市大街道2丁目で2,4%である。その他住宅地では道後町2丁目2,0%、古川北1丁目1,9%の上昇と昔ながらの人気校区の住宅地や外環状線の開通などでアクセスや利便性が向上した地区に需要がある。
以上のことから地価の回復は地方にも広がりを見せつつあるようだが地方といっても札幌、仙台、広島、福岡などいわゆる中核的な市とその他の市は地価格差がますます広がっていくようだ。
愛媛県では県庁所在地の松山市(それも一部の地域)だけが辛うじて健闘している。
一部の地方都市では人口減少と言われる中でも観光需要の増加(特に外国人観光客)や18歳までの医療無料化、妊娠、出産の医療費助成など若者向けの施策を充実させ若者たちをうまく取り込み街の賑わいを何とか取り戻しているところもあるにはある。
しかし人口減少に歯止めをかけ経済を成長させない限り安倍首相がアベノミクスで言うように「いずれ経済効果を全国津々浦々まで行き渡るようにする」ということは所詮無理な話、ないものねだりなのである。
したがって地方のそのまた地方?の地価が上昇に転じるということは今のところ考えない方がいい。