2020年の公示地価

国土交通省が3月18日に発表した公示地価(1月1日時点)の概要を19日付の読売、日経、地元の愛媛新聞の記事を中心に以下のとおりまとめてみた。
公示地価は毎年1月1日時点の1平方㍍あたりの地価の価格の目安を示し、土地取引の指標となるもので相場からかけ離れた価格での土地取引を防ぐ狙いもある。

全国の動向
住宅地、商業地、工業地などを含む全用途の全国平均は1.4%上昇した。
上昇は5年連続で上昇幅も前年の1.2%から拡大しており全国的に地価の上昇傾向が鮮明になってきている。
ただし今回の地価は新型コロナの影響は織り込まれておらず、今後の景気動向次第では上昇基調に変化が生じる可能性が大いにある。
三大都市圏の地価動向としては住宅地1.1%、商業地5.4%、全用途2.1%で何れも前年より上昇率はアップしている。
地方圏は住宅地0.5%、商業地1.5%、全用途0.8%でこちらも前年よりアップしている。
中でも地方の主要4市(札幌、仙台、広島、福岡)は住宅地5.9%、商業地11.3%、全用途7.4%と前年より上昇率が高かったのは勿論であるが他の地方都市と比べて見ても上昇率の高さが顕著である。(上昇率が高いのは都市圏の上昇より地価上昇の波及が都市部に比べ2~3年遅れタイムラグがあるせいだと思われる。)
それにしても今回の公示地価の意外だったことは、いつもなら一面の右上トップで記事になるのだが今回は一面でも中段かないしは2面記事になっていたことである。
さすがに今回は新型コロナの記事にこの1ヶ月以上、連日一面右上トップを奪われていた。
リーマンショック以上、世界経済に悪影響をもたらすかもしれないと言われるだけのことはある。
新型コロナ感染拡大の影響で不動産投資の指標となる東証リート指数も政府が2月26日に2週間のイベント自粛を要請した時点でリートの指数が2200程度だったのが3月18日では1400と約4割下落している。
ホテル投資に特化した「いちごホテルリート」は同期間の下落が60%に及んでいる。
那覇市内のホテル経営者は「宿泊客が通常の約3割まで落ち込んでいる」という話だ。
全国でホテル建設を手がけている大手建設会社も計画の凍結や延期が出はじめているということだ。
東京五輪開催の行方も景気にどの程度の影響を及ぼすのか心配だ。

四国の動向
四国4県は県庁所在地を中心に土地需要が高まってきたが力強さに欠ける。
全用途の変動率は全国平均が1.4%、三大都市圏を除く地方圏平均が0.8%それぞれ上昇したのに対して四国は平均0.4%の下落である。
少子高齢化や人口減少が重くのしかかっているのだろう。

愛媛県の動向
県内の全用途平均変動率は前年比0.7%の下落。1993年以降28年連続で下落が続いている。
一方下落幅は10年連続で縮まり前年より0.2ポイント改善した。
地価上昇地点が1地点、横ばいも5地点増加した。
南予では西日本豪雨で被災した地点が含まれるがインフラ復旧が進み下落幅は縮小した。地価が上昇した公示地は松山市が36地点(住宅地10、商業地26)と、新居浜市の3地点(商業地1、工業地2)。新居浜市における立地企業の業績が好調で新居浜市の工業地の地価も2地点で上昇した。

松山市の動向
松山市の全用途平均の地価は12万5500円で11ぶりに上昇に転じた昨年から0.3ポイント増加した。
マンション用地(特に市内中心部)や優良住宅地(持田、岩崎町の道後校区を中心として)が安定して上昇し、中心商業地域宿泊施設建設の増加や市街地再開発への期待感から需要が回復傾向にある。
しかしながら3月下旬時点では、市内も新型コロナの影響で道後地区の旅館街も宿泊のキャンセルが相次ぎ急遽、休業を決めたホテルや旅館も出ている。
通常なら歓送迎会やいろんな宴会がたくさんあってもいい、飲食店にとってはまさに書き入れ時なのだが夜の街も閑散としている。
従って目抜き通りには行き場のない空車のタクシーが客待ちで長蛇の列が出来ている。
用途別の1平方㍍あたりの最高額は住宅地では松山市持田町4丁目の22万1千円で39年連続、商業地は大街道2丁目の82万1千円で27年連続となっているということになっている。
少なくとも短期的には景気に大きな影響がでていることは間違いない。
景気同様、今後の地価動向が大いに気になるところである。

2020年の公示地価
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