群馬県草津温泉の近くにある草津白根山(標高2171m)が1月23日午前に噴火した。
ここでの噴火は1983年以来35年ぶりということである。
死傷者はスキー場で訓練中だった男性自衛隊員の1人が死亡、ほかの隊員7人も負傷し、うち2人は重体で緊急手術を受けたということである。
草津白根山は気象庁が観測データを24時間監視する「常時観測火山」。
今回、火山性地震の増加や火山性微動など、活動が活発化している事前の兆候は観測されていなかったということである。
マグマの熱で高温、高圧になった地下水が爆発的に噴き出す、まさに不意打ちの水蒸気噴火だった。
遡ること約3年半前の2014年9月には長野県と岐阜県の県境に位置する標高3067mの御嶽山が噴火した。
噴火警戒レベル1(平常)の段階での突然の噴火だったため、河口付近に居合わせた登山者58名が犠牲となった。
日本における戦後最悪の火山災害となった。
火山列島日本は噴火の危険といつも隣り合わせである。
群馬県や県内の自治体ではハザードマップ(危険予測地図)を作成、防災無線や避難壕を各所に設置して緊急事態に備えてきたが生かしきれず、気象や地震と比較して火山噴火の予知がいかに難しいかということと、観測体制がいかに不十分であるかということをさらけ出した。
日本は火山国であるがゆえに温泉天国でもある。
日本全国に温泉地の数がどのくらいあるのかというと実に3155か所(2015年度環境省)ということである。
1位が北海道の245か所、2位が長野県で224か所、3位新潟県153か所と続き最も少ない県は沖縄県の8か所。
一方源泉総数はというと全国で27214か所だそうである。そのうち4499か所が自噴しているものだという。
1位は大分県の4342か所、2位は鹿児島県の2773か所、3位静岡2263か所と続く。
中でも自噴の数が多いのはやはり大分県が1位で684か所、宮城県635か所、北海道が389か所となるらしい。
温泉は日本人の多くが恩恵にあずかっているが火山の噴火で犠牲になるだけでは能がない。
ここは火山列島を逆手にとって無尽蔵ともいえる地熱を発電という再生可能エネルギーとして利用してはどうか。
今のところ、我が国の消費電力に占める地熱発電の割合はわずか0,3%にすぎないらしい。政府はこの割合を2030年に1%に引き上げるという計画らしいがいかにも悠長に思える。福島原発の事故もあって原子力発電の再稼働も滞り、石油も地球の温暖化、二酸化炭素問題など懸念が多い。
地熱発電は地熱で熱せられた蒸気を使う。
地熱をボイラーに見立てた発電方法で天候にも左右されず、一定期間でどのくらいの発電設備が働いたかを示す設備利用率は太陽光(12%)、風力(20%)に比べ地熱発電は83%と高効率の上、事業化すれば半永久的にエネルギー供給できる理想的な資源であるということだ。
これまで開発が進んでこなかった理由の1つは掘削や環境調査などの事業化に平均14年かかるらしい。
太陽光の1年、バイオマスの5年、風力の8年に比べて確かに長いといわれるが、やる気があれば現在の日本の技術力からすれば容易に解決できる問題だと思う。
九州や北海道などの温泉地ではあっちこっちで湯けむりが立っているではないか。
温泉地イコール観光地ということで地元旅館業者などは景観や、湯量の減少などで売り上げ大きく減少するのではないかという心配で反対ということも理解できる。
温泉地から離れたところの影響の極力出ないところを選んで立地すれば何とか折り合いがつくのではないか。
また適地の多くは国立・国定公園の中にある為、建物が建築できないという。
国は自縄自縛にならずそれこそ規制緩和すべきではないのか。
将来的な日本のエネルギー確保と公園の景観保全とどちらが大切か5歳の子供でも分かる。
景観をできるだけ損なわないようにする為に地下とか地中に施設を造るようにすればいい話だ。
要は本気でやる気があるかどうかという話なのではないかと思う
太陽光発電、風力発電などと並ぶ代替エネルギーの1つとしてもっと注目すべきだと思うが如何だろうか。