傾いたマンション

基礎杭工事の不正で横浜市にある11階建てのマンションが2㎝あまり傾いた。

くい打ち工事は旭化成建材(旭化成の子会社)、工事の元請けは三井住友建設、販売は三井不動産レジデンシャルといういずれも日本を代表する?立派な会社である。もともとは不適切工事を行った2次下請け会社の旭化成建材に責任があり、三井住友建設、三井不動産も考えてみれば突然降って沸いたような迷惑な話なのだろうが3社同罪、購入者からすれば当然売り主である三井不動産に大きな責任を求めるはずだ。

今回の不祥事は都会でのマンションの建設ラッシュ,工期重視、採算重視が原因として底流にあるともいわれるが決してあってはならないことだ。

ほんの一部の担当者の不祥事とはいえマンション業界全体に計り知れない悪影響をもたらしたといえる。

購入者にとっては一生に一度あるかどうかの買い物である。殆どの人は特に多少割高であっても信頼性の高い会社の物件をと思い、なけなしのお金をはたいて購入したのだろう。それがこの体たらくではいったい何を信じて購入しろというのか。

販売会社はマンションを解体撤去のうえ建て替えるか売却当時の価格に諸経費を加算して買い戻すと提案している。全4棟(700戸)の建て替えをした場合、買い上げ費用として少なくとも200億円+解体費,転居費などが必要になってくる。

建て替えには少なくとも3年はかかるといわれている。その間の居住者の転居先の居住費などの補償も考えると300億円は必要になるのだろうか。

東日本大震災の際の大津波の後の仮設住宅であれば自然災害ゆえある程度致し方ないにしてもこのような普通にしていれば防げる人災に世帯ごとにそれぞれの生活背景が異なる居住者の生活の基盤が急に変化できるものなのかどうか。マンションの改修には全体の4分の3以上の賛成、建て替えには5分の4以上かつ各棟の3分の2以上の賛成が必要という。

不謹慎かもしれないが私が居住者の1人なら耐震基準など法的規制は当然クリアーしてもらわないといけないが補償額1世帯当たり約4000万円(300億円÷700戸)のうち2000万円を補修工事に充て残り2000万円(話し合いによっては1000万か1500万円でもいいかもしれない)は各世帯が補償金として受け取ることにしてはどうか。補償金は老後資金に回すとかローンの返済に充てれば家計は大いに助かるし取り壊しによる資源の無駄もなくなる。転居が不必要になると今までの生活を変えなくて済むというメリットもある。いかがだろうか?

しかしながらそれぞれが自分の持ち場で自分に与えられた責任をいかに全うするか。基本をおろそかにしないことがいかに大事に行うかということをいまさらながら思い知らされた事件ではある。

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