鑑定士のひとりごと

耕作放棄地

 1年以上にわたって何も作物を栽培せず耕作を再開する見込みのない農地のことを耕作放棄地という。この耕作放棄地が高齢化の進展、後継者不足などで年々増え続け今では国内の農地全体の約1割、40万㌶(概ね滋賀県の面積に匹敵)に達しているという。  耕作放棄地問題は今に始まったことではないが、これまで政府は問題解決の為になかなかこれといった対策を立ててこなかったことも事実である。(選挙目当ての為、農業従事者、農協に遠慮していた?)

 農地は一度使わなくなり何年も放っておくと土壌が荒れて再び農地として活用することが極めて困難になる。大詰めを迎えている環太平洋経済連携協定(TPP)の妥結内容次第では海外の安い農産物が国内にどっと入ってくる可能性もある。そうなると今後ますます零細農家の生産意欲が減退し耕作放棄地も増えてくることになりはしないか。大学を卒業して夢と希望を持って?就職しても3年以内に2~3割が辞めるという。その後は非正規雇用かフリーターで何とか食いつなぐ。若い人の辛抱がなくなったとか雇用のミスマッチなどと呑気なことを言っている場合ではない。このような人の受け皿としても農業をもっと魅力あるものにして再生できないか。

 そのためには農業で十分生計を立ていけるという裏付け,保証が必要になる。コメにしても、野菜、果物どれをとっても日本の農産物は品質が高く確かにブランド力があると思う。しかし良かろう高かろうでは国内そして海外に向けての販売量には自ずと限界がある。また狭い国土で急峻な地形が多く平坦地が少ないのが我が国の農地の特徴でもある。そうした中で大規模化、機械化を図るということは困難を極めると思う。

 それぞれの地域の特性を生かした適地適作の中で農地の集約化をしなければなるまい。集約化の困難な狭い段畑や棚田は個人の家庭菜園的なもののまま残してもいい。またそうした小規模な段畑、棚田を気軽に個人が売買できるように農地の流動化を図るべきだ。そのためには農地法3条(農地の権利移動の制限)5条(農地の転用の為の権利移動の制限)の撤廃、農地売買の宅地並み化を図るぐらいの思い切った政策転換をすべきではないか。従来の品質は維持しつつ出来るだけ農地の大規模化を図り、生産性をあげてコストダウンを早急に図らなければ際競争力に打ち克つことはできない。

 このままでは日本の農業は本当に衰退の一途を辿るしかない。座して死を待つわけにはいくまい。いま日本の農業は大きな曲がり角に差し掛かっている。

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