鑑定士のひとりごと

同じことの繰り返し

同じことの繰り返し

現職国会議員の逮捕
昨年7月の参議院広島選挙区を巡る買収容疑で東京地検特捜部は今月18日、前法相で衆議院議員の河井克行容疑者と妻の参院議員の河井案里容疑者を逮捕した。
現職国会議員夫婦の逮捕は初めてのことだ。
なんとも不名誉なことである。
克行容疑者は広島県出身で1996年に衆議院議員に初当選し現在7期目、安倍総理、菅官房長官に近く安倍政権では首相補佐官,党総裁外交特別補佐官、法務副大臣などを歴任し昨年9月に法務大臣に任命されたのである。
選挙は俗に地盤(コネ)、看板(知名度)、鞄(お金)が絶対的に必要と言われる。
特に新人が当選する為には相当のエネルギーが必要になるのは想像に難くない。
安里氏は2003年、29歳で広島県議に初当選し通算4期16年つとめ、19年7月の参院選広島選挙区に自民公認として出馬し初当選を果たしたのである。
その厳しい選挙に当選した時は夫婦共々絶頂の極みであったのだろうが妻、安里容疑者陣営の公選法違反容疑が発覚し夫、克行氏は法相になった翌月、法務大臣の辞任に追い込まれた。
「天網恢恢粗にして漏らさず」とはこのことか。
まさに有頂天のさなか夫婦にとっては天国から地獄へと突き落とされた感じだろう。
自業自得ではある。

旧態依然とした金券選挙
広島選挙区は改選2議席であり自民党本部は自民で2人当選させたかったと表向は言うが選挙結果は野党系無所属の現職議員が約33万票を獲得して一位当選。
安里容疑者は約30万票を得票し2位で見事?初当選し、競合相手の自民党現職で元国家公安委員長まで務めたベテランの溝手顕正氏は約27万票で落選の憂き目を見たのである。
落選した溝手氏側には党本部からの交付金は1500万円だけだったらしいが安里氏側にはその10倍の1億5千万円が渡っていたというからどう考えても新人とベテランとは言え同じ選挙区を戦うにしてはあまりにも不公平ではないのか。
何か見えない力が働いていたとしても不思議ではあるまい。

長期政権の奢り?
まずは金の力で安里氏当選ありきではなかったのか。
安里氏側は潤沢な資金を背景に何が何でも当選しなければならないということでやってはならない買収行為を行ったということだろう(まだ容疑段階ではあるが)。
しかし克行、安里氏側の言い分は買収行為ではなく選挙に向けての自民党支持を拡大する為の政治活動として地元議員や後援会に寄付をしたものだという。
逮捕容疑は克行容疑者が91人に計2400万円、安里容疑者も共謀して5人に計170万円を渡した疑いが持たれている。
夫婦は買収行為を否定しているが広島県内の議員や首長はほとんどの人が受け取りを認めている。
4月には広島県安芸太田町の町長が現金受領を認めた上で町長を辞職するという事態にまでなった。
結果として受け取った町長に責任はあるが町長にとっては歩道を歩いていたのに克行容疑者の乗った車がいきなり勝手に飛び込んで来て事故に遭ったようなものでなないのか。
お陰で潔く?辞任した町長には同情の余地があるように思える。
また安里容疑者の擁立は自民党本部が主導し克行容疑者は安倍総理、菅長官と近いとされる。
安里氏は当選後、選挙資金を采配できる党の幹事長、二階派に所属というおまけ付き。
一方落選した溝手氏は次期総理候補の最右翼と言われる岸田派に所属。(尤も政治の世界、一寸先は闇とよく言われるが・・・)
しかも溝手氏は総理との確執が取り沙汰されていたという。
お友達や側近を優遇し物心両面で露骨に肩入れする反面、嫌いな人はとことん排除する、安倍政権の奢りが垣間見えるようだ。
穿った見方をすれば岸田派と二階派の派閥争い、岸田氏と菅氏の覇権争いとも見えるし、はたまた官邸と検察の対立の構図とも言えなくもない。
なんともドロドロとした嫌な世界ではある。
確かに加計、花見、籠池問題などいろいろあったのは確かであるが小生、個人的にはこれまで安倍総理は真面目に一生懸命、国のために尽くしてきてくれたと思っている
しかしながら長期政権の奢りというか、慢心というかここまでくるといくらなんでも少しやりすぎでなないか。
政権も末期に近づいているということか。

最近の世論調査
今月の20、21日に共同通信社が実施した全国電話世論調査によると安倍内閣の支持率は前回5月末より2、7ポイント減の36、7%となった。
不支持率は49、7%で前回より4、2ポイント増である。
また買収容疑で逮捕された前法相の河井克行衆議院議員と妻の河井案里参院議員については「議員辞職すべきだ」との回答が90、4%に達しているということだ。
当然の結果だろう。
デジタル時代を反映して捜査も今風だなと思うのは押収したパソコンのデータはほとんど消去されていたらしいが復元すると氏名、金額、時期など現金を配った詳細なリストが見つかったというのである。
また両容疑者のスマートフォンに残された全地球測位システム(GPS)の情報だ。
これによって相手方との接触日時や場所、所要時間などを特定できるしというのだ。

同じことの繰り返し
金権政治の打破、解消のために制度ができた政党助成金が一部の権力者の思うままに使われる。
政党助成金は我々国民が汗水たらして稼いだ挙句の血税の賜物である。
自民党だけでも国から年間170億円の政党助成金を受けているというのだ。
そのお金の一部は当選するためには手段を選ばずではないが集票のためのバラマキ資金に使われ、ろくでもない政治家を金権選挙によって平気で生んでゆく。
政治家は選挙に勝てないと政治家として国政に携われないのは確かだ。
しかしこれではいつまでたっても清貧で志の高い政治家が公平な選挙によって生まれる土壌は醸成できない。
なんとかならないものだろうか。
いつまでたっても同じことの繰り返しだ。

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