少子化高齢化の現状
少子高齢化が叫ばれて久しい、
少子化は
①女性の社会進出が進むにつれ仕事と出産、子育ての両立が難しいという労働環境の変化したこと
②女性の社会進出が進んだ結果「男性は外で働き女性は家を守る」という考え方が成り立
たなくなったという夫婦の在り方が変化したこと
③若年層の未婚化(20年前と比較すると未婚理とはほぼ倍増している)、晩婚化、男性の精子力の低下?等により少子化が進展
また子供を産んでも子供の教育費にカネがかかりすぎそれによる生活レベルの低下を避けたいというのも少子化の原因の一つだろう。
因みに14歳以下の子供の数は1975年、総人口の24.3%から2018年には12.3%にほぼ半減している。
現在の出生率を基に人口を推計すると2060年までに65歳以上が人口の約40%になると推計されている。
総人口は2010年の1億2800万人から50年後の2060年には9284万人に減少するといわれている。
現在の中古住宅市場の問題点
現在、国交省では中古住宅の流通活性化のための一環としてホームインスペクション(住宅診断)を制度化した。
ホームインスペクションとは中古住宅を売買する前に主に目視で住宅のコンディションを把握して報告するという業務のことである。
人間に例えるなら差し詰め「健康診断」というところだろう。
所要時間は建物面積約100㎡のインスペクションで2~3時間程度、費用は目視による診断のみの場合で5~6万円程度ということだ。
我が国の在来の木造建築ならご存知のように20~30年もすれば経済的な耐用年数は終わり中古住宅市場では建物の価値は殆どないとしたものだ。
したがって信頼できる業者によりインスペクションをして立派な報告書を作ってもらったからといってその建物の価値が上がるというものではない。
仮に今のところ特段悪いところはありませんねという報告書が出たとしても築年数により建物は物理的にも、機能的にも劣化していることはたしかなのだから。
就職にしても20代の若者の需要はあっても60過ぎの高齢者の需要は殆どないのと一緒だ。インスペクションはあくまでも現在の建物の状況を目視で客観的に把握するということにすぎない。
例えばホームインスペクションで悪いところが分かったとしよう。
そのリフォーム費用に200万円必要とした場合、建物価値がそれ以上に上がればリフォームをするメリットが出るのだろうが通常そんなことがあり得るだろうか。
価値は費用を投下した時点から確実に下がっていくというのが不動産市場の現実である。
資源の有効活用という観点から見た場合既存の建物をできる限り活用していきたいということは理解できるが所詮従来の安普請の家では物理的な劣化は否めず機能的、経済的な価値は一般的に言って望めない。
欧米諸国のように建物自体が石造りなどの非木造で何百年も風雪に耐えうるのなら躯体を残して設備や内装をリフォーム、リノベーションして末永く使うというのは理解できる。しかしながら日本みたいに高温、多湿、多雨、そのうえ木造とくれば所詮長持ちは無理なのである。
そもそも長持ちをさせようと思って建てていないのが一般的な日本の住宅建築の実情ではなかろうか。
樹齢何百年の杉、ヒノキの銘木を使って宮大工が建てた神社、仏閣などの歴史的木造建築物ならいざ知らず樹齢30~40年の節の多い木材や外材を使って建築費をなるべく安くしたいと思って建てたものにはそれなりの価値しか残らないのである。
現在日本にある木造、プレハブ住宅で50年以上設備、内装を更新しながら残したいと思われる建築物が一体どのくらいあるのだろうか。
おそらく全体の2~3割程度ではなかろうか。
今後の中古住宅市場の解決策
そうした少子化による将来の人口減と厳然とした高齢化の中で今後の中古住宅市場はどのように変化していくのだろうか。
問題は現存する多くの安普請の在来木造住宅を後生大事に維持管理していくという姿勢ではなくこれからの住宅について100年以上使える住宅を基本に造るというコンセプトを国が率先して制度化することが必要だ。
そのような優良住宅に対して国は補助金を出すとか固定資産税などの税制面で優遇するとかすればいい。
建物の耐用年数の伸びるのであればそうした優良住宅は住宅ローンの融資期間も50年以上に伸ばしたらどうか。
親子二代で払えるようにするとか或いはローン期間中に売却の必要が生じた場合購入者が引き続きそのローンを同じ条件で引き継ぐことができるように制度化してはどうか。
中古住宅流通の際の物理的な検査は流通の健全化、透明性、取引後のトラブル防止のためには必要なことといえるがホームインスペクションを以って流通の活性化が図れるとは思われないのだが。
これからますます高齢化の進展により高齢者が自宅を処分して施設などへ入るといったことが増えてくるだろう。
中古住宅の供給は今後とも確実に増えてくることは間違いない。
こうした住宅が近隣に迷惑を及ぼさない特定空家にならないようにするにはどうすべきか。少子高齢化の問題はここにも根を下ろしている。