鑑定士のひとりごと

平成30年版土地白書を読んで

平成30年版土地白書を読んで

今年の白書を概読して中でも自分の興味のある部分をその中から抜粋し、自分なりの解説、感想を加えてみた。

 

第一部 土地に関する動向

第一章 平成29年度の地価・土地取引の動向

ここでは不動産市場を取り巻く我が国経済の動向や地価変動率、土地取引の動向を数十年前からの統計で白書は動きを捉えているがさして目新しいものは見当たらない。

就中、マンションについては首都圏・近畿圏のマンション(中古マンションも含めて)価格及び賃料がここ数年上昇傾向にあるということ。

また白書では近年、需要の高まりがみられる施設として宿泊施設、物流施設、医療・福祉施設の動向を取り上げている。

宿泊施設については、近年訪日外国人旅行者数の増加に伴い需要の高まりをみせている。

宿泊施設数の推移をみると旅館の営業施設数と営業客室数は減少しているがホテルのそれらは共に増加している。旅館からホテルへと施設は移っている。

 

ご当地愛媛県松山市でもインバウンド客の増加とも相まって道後温泉地区は旅館からホテルへの建て替え、従来のホテルの建て替えがここ最近多く見受けられる。

また中心市街地でもビジネスホテルを中心としたホテルの新築や建設予定が見受けられる。観光大国ニッポンとしてはインバウンド4000万人を目指して今後も着実に伸びて行ってほしいところだ。(白書P20~P27)

 

特筆すべきはヘルスケア施設であるがサービス付き高齢者向けは棟数,戸数ともに平成2年度以降増加傾向を続けている。

中でも認知症高齢者グループホーム、有料老人ホーム、介護老人福祉施設は高齢化社会を迎えて大きく増加している。(白書P28~P29)

 

第2章 明治期からの我が国における土地をめぐる状況の変化と土地政策の変遷

平成30(2018)年は、1868年に元号が明治に改められてから満150年になる。

この間産業や生活、諸制度等の近代化、産業構造の変化と都市化、戦争、大規模災害、経済の高度成長、過疎・過密、バブル経済とその崩壊、人口減少社会の到来など、様々な社会経済情勢の変化があった。

その間の土地をめぐる政策の変遷を土地の私有制度と地租改正から始まって大まかに説明している。(白書P55~P112)

第3章 所有者不明土地問題を取り巻く国民の意識と対応

この章の冒頭に人口減少や超高齢化社会を迎える我が国において、土地利用ニーズの低下や地縁・血縁関係の希薄化等により資産としての土地に関する国民の意識が希薄化する等社会的状況が変化する中、相続登記が数代にわたって行われないこと等により、所有者不明土地(不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明せず、または判明しても所有者に連絡がつかない土地)に関わる問題が顕在化している。

こうした所有者不明土地が存在することで、公共事業や民間の事業においてその土地を取得・利用しようとする際に、所有者の探索等に多大な時間・費用・労力を費やすことを強いられている。

また、利用意向がない土地が、長期間利用、管理されずに放置されることで、土地の荒廃を招くなど、管理不全の問題として顕在化するケースが存在する。

さらに、農地の集積・集約化、森林の適正な管理等の様々な分野で共通の問題となっている。

この章では第1節で所有者不明土地の実態把握のための各種調査や所有者不明土地が存在することによる支障事例を取り上げ所有者不明土地問題の現状について記載している。

 

平成29年法務省が全国10箇所の地区約10万筆の土地所有権の登記について、最後の登記からの経過年数を調査したところ登記名義人が自然人であるものもうち、最後の登記から50年以上経過しているものが大都市で6.6%、それ以外で26.6%あるということだ。

50年以上登記が動いていないということは不明土地になっているか乃至はその入り口に差し掛かっている土地ということだろう。

 

また全国の農地について農業委員会を通じて実態調査をしたところ、平成28年において白書では、登記名義人の死亡が確認されている農地の面積が47万7千ha、登記名義人が市町村外に転出していることなどにより住基台帳上ではその生死が確認できず相続未登記のおそれのある農地の面積が45万8千ha存在するということだ。

これらを合計すると約93万5千haとなり全国の農地面積の約2割に及ぶという。

林地について白書では言及はなかったがおそらく農地より面積、率ともに大きく問題が多いのではないのだろうか。

こうした不明土地を原因とした土地利用の利用、管理が大きな社会問題になっているということを事例をあげて記述しているがここでは省略。(白書P113~P120)

 

第2節では国土交通省において実施した国民へのアンケート調査結果等を基に、所有者不明土地問題を取り巻く国民の土地に関する意識について考察している。

土地は利用することで価値を見出すことができる反面固定資産税などの金銭的負担や維持管理の負担を伴う。

地価が下がりこうした負担感が相対的に大きくなれば所有意欲が減退する。

このことについて国民の意識調査を行ったところ負担感を感じたことがあると思う人が42.3%いるということだ。また土地を預貯金や株式などと比べて有利な資産だと思うかという問いには46.5%の人が有利な資産とは思わないと答えている。

高度成長時代、地価が右肩上がりに上昇していた時代と違い土地は資産としてさほど魅力的ではないとやく半数の人が感じている。(白書P122~P134)

 

第3節では所有者不明土地問題に対する政府全体の取り組み内容及び今後の対応について記載している。

 

第2部は平成29年度土地に関して講じた基本的施策として第3章では地価動向の的確な把握等、第4章では不動産市場の整備等、第7章では土地の有効利用等の推進などを取り上げているがここでは取り上げない。

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