鑑定士のひとりごと

循環型自然農業

寄る年波のせいだろうか。たいてい夜中の2時ごろに一度目が覚める。夜は11時ごろに床に就く。

もう少し寝る時間を遅くすれば目覚めもその分遅くなって丁度いいのだろうがいつも6時か7時ごろから食事(晩酌)を始めるせいもあってか11時頃には眠くなる。そういう訳で夜中にどうしても一度目が覚める。そして枕元のラジオにスイッチを入れNHKのラジオ深夜便をうつらうつらしながら聞くとはなしに聞いているのである。

 

先日も午前4時からの人物対談の番組の中で関東平野の西北端、埼玉県比企郡小川町でブクブク農園という循環型の自然農業経営を行っている経営者の話があった。

農薬を使わずに土の力を生かしながら野菜や米、穀物を育て、同時にミツバチ,ニワトリ,ヤギ、合鴨なども飼育しているということだ。

 

水田約2ha、畑約1ha、果樹園約0.3ha、を家族で切り盛りしている。水田は山に囲まれた小さな谷あいにあり田んぼの上流には人家や田畑はなく山の養分をふんだんに含んだ沢水を使うことでおいしいお米や作物ができるということだ。

近年コメの摂取量が減ったといっても日本人にとってコメは主食であり食の基本、こんな環境の中で育った米を毎日食べていると健康にならないはずはない。

 

もともとこの農園の経営者は土木工学の専門家で若い時、青年海外協力隊の一員としてネパールなどで農業土木の指導をしながら現地の循環型農業を見て自然農法に興味を持ったということと、娘さんが病弱で自然環境のいいところへいづれ家族で移住したいと考えていたらしい。

 

そしていろいろと候補地を探していたところ十数年前に自然農法に対する取り組みに理解があった小川町へ移住することになったらしい。有機農法、循環型自然農業は今では全国あちこちで見られるがここでの取り組みで特筆すべきは地域住民も積極的で家庭の生ごみや学校給食の残飯を地域住民と行政が一体となって収集できる体制をとっていることだ。

 

集められた生ごみはこのシステムに理解があるボランティアも一緒になって肥料化のための簡易な施設を建設し安いコスト(殆ど建材費のみ)で肥料化できるようにしている。

また地域住民は自宅の生ごみ分別の手間賃?として生産者から地域通貨を毎年3000円分貰え、それで農産品などを購入できるということだ。

 

結果として行政としての町は家庭の生ごみや学校給食の残飯が殆ど出なくなりその分、焼却コストが削減されることになり町の財政健全化に繋がる。

生産者は有機肥料の原料となる生ごみを安定的にタダ同然で賄うことができ有機農業が可能となる。

現在こうして出来た生産物はネット販売などで予約待ちになるぐらい評判がいいらしい。この事業スキームはかつての近江商人の理念である「売り手よし」、「買い手よし」、「世間よし」を見事に体現している。

 

大きな自治体とか都市部でこのごみ処理のシステムと有機農法をマッチングさせるのはなかなか大変だと思う。先進国の大量の食品ロス、反面後進国の食糧難も大きな社会問題ではある。

一地域の出来事として終わらせるのではなく循環型有機農業を社会全体にシステム化することにより出来るだけ無駄をなくして環境効率のいい健康で健全な社会を築いていくことが必要である。国、自治体、市民が一体となった地道でワイドな取り組みが早急に望まれる。

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