空き家問題を考える(その1)

全国の空き家は2013年10月1日時点で何と820万戸あるという。総住宅戸数に占める割合は13.5%(総務省の住宅・土地統計調査、速報値)で過去最高であるらしい1958年には36万戸、2、0%にすぎなかったが右肩上がりで着実に増加しているということだ。因みに我が愛媛県の空き家率はというと堂々、全国第6位の17.5%である。空き家の増加は住宅取得減税などの新築優遇政策などでの供給過剰とその後の人口減少が大きな原因と思われる。

空き家を取り壊して更地にすると建物の固定資産税は翌年よりなくなるが土地の固定資産税が約6倍に跳ね上がる。こうした現行の課税制度も空き家のまま放置する一因になっている。

このまま放置すると今後ますます立地条件の悪い物件や築年の古い物件は空き家予備軍として増加していくことになるだろう。また古い空き家は近隣環境や防災、防犯面でも悪影響を与える。先日こんな相談を受けた松山市の郊外部、辺鄙なところで地価はせいぜい坪10万円程度、約70坪の土地に4階建て、延べ面積約150坪の建築後約45年(建築当初は社宅みたいにして利用していたが現在は老朽化しており何年も使用していない)建物がある。

土地の固定資産税は2万円程度、建物の固定資産税は確か20~30万円だったと思う。出来れば現状のまま処分したいらしいがなかなか買い手がつかない。取り壊して更地にすれば売れやすくなると思うが建物の取り壊し費用が600万~700万円かかる。仮に取り壊すことになれば売主の最終的な取り分はゼロか或いはマイナスということになる。

費用対効果を考えると取り壊しは現実的ではない。しかし放置しておいても固定資産税は確実にかかる。人口減少による空き家の増加も問題であるがこうした無用の長物?が最近多くなっている。固定資産税版前門の虎、後門の狼である。にっちもさっちもいかない状況である。市街地の古い空き室の目立つマンション・アパートや堅固建物4~5階建てで後継者のいない古い病院なども早晩問題が生じてくる。

永年の課税制度にひずみが出てきているのだろう。国もやっと重い腰を上げ倒壊の恐れのある空き家の強制撤去など諸対策を考えてはいる。重くのしかかる固定資産税を前にして売ることも壊すこともできない現状をどのように打開したらいいのか今のところ妙案は見つからない。

空き家問題を考える(その1)
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