農地法改正

全国農業協同組合中央会(JA 全中)の権限を縮小し、地域農協や農家の競争を促すため改正農協法が8月28日成立した。改正法の柱は現在、農協組織の頂点にあるJA全中や全国農業協同組合連合会(JA全農)が地域農協をサポートすると位置付けを変えたことである。

今後、各農協はJA全中に頼ることなく自らマーケティングなどを考える必要がある。今後は農協や農家が新需要を開拓すれば所得を増やせるが挟手傍観のみでは自ら衰退することを意味している。先月のJA全中の会長選挙で農協を牛耳る守旧派候補にNOを突き付け農協改革に積極的な奥野長衛氏が新会長になったのも改正に追い風だ、った。この法律は来年の4月1日より施行される。

これまで一部の地域農協は、農産物の集荷と引き換えに資材や肥料を半ば強制的に買わせていた。購入を渋り続けると集荷してもらえなくなることもあり量販店より高い価格で買わざるを得ない農家も多いという。こうした強制販売は今回の法改正で禁止されることになる。

今後、地域農協の自立が問われるが農政の中央集権から地方分権ということで地域農協は心して受けて立つ気持ちが必要だ。安倍内閣のいう岩盤規制の打破、今後の日本経済における成長戦略の一つになるものと期待したいものだ。改正農協法とともに成立した改正農地法では農地を保有する法人への企業の出資比率の上限を50%未満にした一方、直接の所有を認めなかった前々回、耕作放棄地の問題のところでも触れたようにそもそもの日本は国土が狭いうえ山林が多く平地部の農地は比較的少ない。放っておいてもなかなか農地の大規模化、集約化は厳しいのにこれでは企業が農業に参入し生産性を高めようとしても手足を縛られた格好で如何ともしがたい。臥竜点晴を欠く、改革片手落ちと言わざるを得まい。

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