鑑定士のひとりごと

空師

あなたは空師という職業をご存知だろうか。地上数十メートル、天を衝くような巨木に登り、幹や枝を切り出す職人のことを「空師」と呼ぶんだそうです。

空師は倒木の危険のある神社、仏閣屋敷などにある大きな木を周囲になるべく被害が出ないように伐り出す。19 7 3年東京生まれの熊倉純ーさんもその一人で、中学2年の時にアルバイトで空師見習いを始め、卒業後にアルバイト先の親方に弟子入札その後23歳で原木市場に就職し原木の価値を基本から見極める目を養う。28歳で独立、関東を中心に全国からの依頼を受けて伐採作業に取り組んでいる。

周りの建物や隣の木との距離、道幅、電線の位置なども確認し安全に倒す方向や枝を落とす場所を決める。熊倉さんが言うには一番緊張するのは伐った部分が木を離れる瞬間らしいロープが上手く架かっていないと木が思わぬ方向に落ちたり、跳ねたりして大事故に繋がりかねない。また安全に木を伐るだけではいい職人とは言えないらしい。

現場に着くとゆっくりと時間をかけて木の状態を観察し、枝ぶりや幹の状態などからどこをどう切るかを見定める。その時、腐って中が空洞になっていないかとか、良質の木材になる部分はどのあたりかとかを正確に判断する。伐り方一つで木の価値が変わるらしいので、伐った木が後で高く売れるように伐る。そこが職人としての最大の腕の見せ所でもあるらしい。

周囲を含めて現場をよく観察するということは不動産の鑑定評価でも基本中の基本である。周囲の環境、評価対象物件の精査をいい加減にすると後でとんでもない結果に繋がる。その不動産のいいところ、悪いところすべて見極めて評価する。現場というものは無言であるが時としていろんなことを語り掛けてくれるものである。

熊倉さん日く「木はある程度の太さが必要だが何よりも目(年輪)が詰まっていることが大切、樹齢千年の木は千年使えるほど強し、といわれる。人も木も厳しい環境でこそ強さ、遣しさを育むということか。この点人と木には相通じるものがあるが不動産の場合は気候が温暖で日照、通風が良好など環境条件の厳しくないところほど好まれる。厳しい環境にある物件は評価が高いとはどう考えても言い難いのだが・・・。

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